2006年 05月 29日
息を聴け~熊本盲学校アンサンブルの挑戦:冨田篤(著):新潮社 |
昨日は午前中、近くのスーパーに家族で買い物に出かけました。
そこで、いつもの如く「本のまとめ買い」・・・。
まぁ、どうしてもビジネス関連の本が多くなるのは仕方ないのですが、今回は少し別の視点の本を。
「息を聴け~熊本盲学校アンサンブルの挑戦」 冨田篤(著):新潮社
あるきっかけで、著者は盲学校の音楽クラブの指導を依頼されます。
盲学校というわけでですから、それこそほとんどが全盲と考えていもいいような状況で、著者は彼らに対して音楽を教え無ければなりません。
楽譜どころか、スティックの持ち方、スティックの上げ下ろしまでもが「目」では伝えられないのです。
「私が、寿也に『バチを上げてごらん』というと、彼は毎回違う方向にバチを傾けた。よく見ると彼の首が傾くたびにバチの行く先が変化していることに気付いた。そうか!彼らは頭を傾けた方向が『上』なのだ。」
という状況で、彼らが演奏する曲が決まって、なんとか練習らしきものがスタートします。
さて、皆さんが、このような立場に立ったとき、どのように彼らに音楽を教えようとするでしょうか?
彼の強みは「聴力」なのです。それこそ、気配からすべてを耳に頼っています。
従って、すべてのパートを自分が演奏し、それを彼らに繰り返し聞かせることで楽譜の代りとしたそうです。
これって、私達がギターを始めた頃、楽譜を読めなかった頃はテープから「コピー」と称してやっていたことなのですが、自分が楽譜を読めるようになるとすっかり忘れていました。
また、小太鼓の独特の叩き方に「スネア」という細かい音符をつなげる方法があります。これって、太鼓の表面とバチの上げ下げを見ながら覚えるのだそうですが、彼らはそれも出来ない。
これは、2人羽織状態で生徒の手を持ちながら、それこそ「手取り」で体得させたのです。
この辺りでは、私の仕事にも応用できるような事が多く感じられて、面白かったですよ。
さて、彼らは、2005年の全日本アンサンブルコンテストに出場することになりました。
このコンテストは、県予選から1校、九州大会から1校と絞られていきます。
そのために、いつもにまして厳しい練習に明け暮れることになります。
そして、最後に彼らを待っていた結末とは・・・・・・・。
人間が持っている基本的なものとはなんだろうか?
可能性への挑戦とは一体なんなのだろうか?
人間のつながりとは?・・・・
と、色々なことを考えてしまった本です。
*少し、ウサギ目になってしまいましたし・・・(泣)
著者の語り口が、結構さらっとしているので、あまりどろどろした構成ににはなっていないのですが、実際の指導ではそれこそ想像を絶することがあったことは間違いありません。
久しぶりに、さわやかに元気になる本でした。
本日もお読みいただいてありがとうございます。
ご意見ご感想などお聞かせいただけるとうれしいです。
そこで、いつもの如く「本のまとめ買い」・・・。
まぁ、どうしてもビジネス関連の本が多くなるのは仕方ないのですが、今回は少し別の視点の本を。
「息を聴け~熊本盲学校アンサンブルの挑戦」 冨田篤(著):新潮社
あるきっかけで、著者は盲学校の音楽クラブの指導を依頼されます。
盲学校というわけでですから、それこそほとんどが全盲と考えていもいいような状況で、著者は彼らに対して音楽を教え無ければなりません。
楽譜どころか、スティックの持ち方、スティックの上げ下ろしまでもが「目」では伝えられないのです。
「私が、寿也に『バチを上げてごらん』というと、彼は毎回違う方向にバチを傾けた。よく見ると彼の首が傾くたびにバチの行く先が変化していることに気付いた。そうか!彼らは頭を傾けた方向が『上』なのだ。」
という状況で、彼らが演奏する曲が決まって、なんとか練習らしきものがスタートします。
さて、皆さんが、このような立場に立ったとき、どのように彼らに音楽を教えようとするでしょうか?
彼の強みは「聴力」なのです。それこそ、気配からすべてを耳に頼っています。
従って、すべてのパートを自分が演奏し、それを彼らに繰り返し聞かせることで楽譜の代りとしたそうです。
これって、私達がギターを始めた頃、楽譜を読めなかった頃はテープから「コピー」と称してやっていたことなのですが、自分が楽譜を読めるようになるとすっかり忘れていました。
また、小太鼓の独特の叩き方に「スネア」という細かい音符をつなげる方法があります。これって、太鼓の表面とバチの上げ下げを見ながら覚えるのだそうですが、彼らはそれも出来ない。
これは、2人羽織状態で生徒の手を持ちながら、それこそ「手取り」で体得させたのです。
この辺りでは、私の仕事にも応用できるような事が多く感じられて、面白かったですよ。
さて、彼らは、2005年の全日本アンサンブルコンテストに出場することになりました。
このコンテストは、県予選から1校、九州大会から1校と絞られていきます。
そのために、いつもにまして厳しい練習に明け暮れることになります。
そして、最後に彼らを待っていた結末とは・・・・・・・。
人間が持っている基本的なものとはなんだろうか?
可能性への挑戦とは一体なんなのだろうか?
人間のつながりとは?・・・・
と、色々なことを考えてしまった本です。
*少し、ウサギ目になってしまいましたし・・・(泣)
著者の語り口が、結構さらっとしているので、あまりどろどろした構成ににはなっていないのですが、実際の指導ではそれこそ想像を絶することがあったことは間違いありません。
久しぶりに、さわやかに元気になる本でした。
本日もお読みいただいてありがとうございます。
ご意見ご感想などお聞かせいただけるとうれしいです。
by kuwahara_TRIZ
| 2006-05-29 14:29
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