2011年 06月 12日
TOCのゴールドラット博士 偉大な人生を閉じる. |
昨日から熊本地方は大雨です。
いまだに、大雨洪水警報が出ているようです。
梅雨の初期に、こんなに雨が降るのは珍しいのではないでしょうか…。
自宅の前の用水路の状況です。
*ここは、加藤清正が白川から大津に水を引くために開拓した歴史あるものらしいです。
どこにも被害が出ないことを祈っています。
さて、本を読んでたらメールがなりました。
何かなと思って開くと…。
「TOCのゴールドラット博士、偉大な人生を閉じる」という連絡メールでした。
TOCとは、「制約条件の理論」の略です。
ゴールドラット博士は、「ザ・ゴール」、「ザ・ゴール2(思考プロセス)」に始まり、最近では昨年「ザ・ベロシティー」を出したばかりで、これからのさらなる活躍をきたされていた人です。
「ザ・ゴール」では、ボトルネックやドラムバッファなどの概念で、生産システムでの最適化を例に、部分最適を追及するのではなく、全体最適のみを追求すべきだ。そのためにはボトルネックを探し出し、そこにシステムの生産量を合わせなければならないという、極めて斬新的な提案をしました。
それまでは、設備の稼働率とは、個々の装置の稼働率を上げることが対策だと考えていたことに対して一石を投じたのです。つまり、個々の装置の稼働率なんてどうでもいい(たとえば、稼働率50%の装置があってもいい)のだ、要は生産システム全体のスループット(この場合生産量)を最大化することが大切なのだということですね。
これは、企業の究極の目的は何か?を問いかけるうえで、とても画期的な本でした。世界中で大ヒットした本です。
その考え方の中心にあるのが、TOC(制約条件の理論)であり、その考え方に焦点を当てて、より具体的に噛み砕いて説明したのが「ザ・ゴール2(思考プロセス)」です。
この中の、現状問題構造ツリーや、対立の考え方など論理的で合理的な手法は、私も参考にさせています。
で、最後の著書になった(現時点での話で、まだに翻訳されていないものがあるのかもしれませんが…)「ザ・ベロシティー」では、リーンとシックスシグマとTOCを組み合わせて使うことを提案し、「あえて無駄は残すことが、実は大きな利益を生み出すのだ」と言い切っています。
私は、日本語訳された彼の著作は全部読みましたが、どれもストーリー性が高く、わかりやすく書かれているのが印象的でした。
製造業から、営業、プロジェクトマネジメント、組織運営に至るまでTOCの適用範囲の広さが印象に残っています。
本当に、惜しい人を亡くしました。ご冥福をお祈りします。
・・・・・
このTOCとTRIZはとても親和性が高いと感じていました。
特に、思考プロセスの一つである「現状問題構造ツリー」は、現在見えている問題の原因を探り出すのに使っていますし、「矛盾構造ツリー」は、表現こそ違えTRIZの工学的矛盾の考え方と似ています。
我々は、TOCに不足していると思われる、解決策のアイデア出しの部分にTRIZを活用していましたから。
これを機に、さらにTOCをはじめとするいろいろなツールとの親和性を高める取り組みをしていきたいなと感じています。
・・・・・
で、閑話休題。
先日、FBでのある懇親会で、TRIZの話題になったのです。
Aさんは、大学でのロースクールで教鞭をとって学生たちを指導しています。
Bさんは、クリーニング屋さんです。(先日、ブログにも登場して、ネクタイの汚れを落とすのに、何が付いたかではなく、何についたかが大切だと発言した人です)
彼らと話をしていて、TRIZの話になったとき、Aさんがおもむろに「アイデアカードを持ってるけど、これってTRIZと関係あるの?」と。
それは、iPhoneアプリの「知恵カード」でした。
「そう、それはTRIZの40の発明原理というツールをわかりやすく表現して、カードみたいにしたものですよ」と私。
「これ、良いよね。iPhoneのアプリになる前から、カードをBSに使ってましたよ。」とAさん。
それを聞いてたBさんも興味を持って、「Aさん、それどこにあるの?」と、アップルストアから探して購入している様子でした。
こうやって、いわゆる狭義の技術者ではないお二人とTRIZ談義をできる環境って面白いなと感じました。
きっかけは、どこにでも転がっているけど、それに気づくためにはお互いのふとした会話から零れ落ちる「何か」に反応できるアンテナが必要なんだと。
・・・・・
今、原点に返ってTRIZを分析しています。
というか、そもそも問題解決や課題達成のために必要なことってなんなんだろうという命題について考えつつ、手法の作成を検討しています。
できるだけ早く、皆さん方にお届けできるように頑張っていますので、今少しのご辛抱を・・・・。
え? そんなに待っていないって?(汗)
まぁ、そういうことで(笑)
そうそう、MONOistで私の3回シリーズのTRIZ連載が始まりました。
先日2回目が公開されましたので、興味のある方は是非ご覧くださいませ。
「ブレーキの問題解決アイデアを出そう(1/3)」です。
また、7月にはくまもとでTRIZの公開セミナーをやります。
こちらの方もよろしければ…(笑)
第56回KDRIイブニングセミナー「TRIZ理論」 からお申込みくださいませ。
では、また!
いまだに、大雨洪水警報が出ているようです。
梅雨の初期に、こんなに雨が降るのは珍しいのではないでしょうか…。
自宅の前の用水路の状況です。
*ここは、加藤清正が白川から大津に水を引くために開拓した歴史あるものらしいです。
どこにも被害が出ないことを祈っています。
さて、本を読んでたらメールがなりました。
何かなと思って開くと…。
「TOCのゴールドラット博士、偉大な人生を閉じる」という連絡メールでした。
TOCとは、「制約条件の理論」の略です。
ゴールドラット博士は、「ザ・ゴール」、「ザ・ゴール2(思考プロセス)」に始まり、最近では昨年「ザ・ベロシティー」を出したばかりで、これからのさらなる活躍をきたされていた人です。
「ザ・ゴール」では、ボトルネックやドラムバッファなどの概念で、生産システムでの最適化を例に、部分最適を追及するのではなく、全体最適のみを追求すべきだ。そのためにはボトルネックを探し出し、そこにシステムの生産量を合わせなければならないという、極めて斬新的な提案をしました。
それまでは、設備の稼働率とは、個々の装置の稼働率を上げることが対策だと考えていたことに対して一石を投じたのです。つまり、個々の装置の稼働率なんてどうでもいい(たとえば、稼働率50%の装置があってもいい)のだ、要は生産システム全体のスループット(この場合生産量)を最大化することが大切なのだということですね。
これは、企業の究極の目的は何か?を問いかけるうえで、とても画期的な本でした。世界中で大ヒットした本です。
その考え方の中心にあるのが、TOC(制約条件の理論)であり、その考え方に焦点を当てて、より具体的に噛み砕いて説明したのが「ザ・ゴール2(思考プロセス)」です。
この中の、現状問題構造ツリーや、対立の考え方など論理的で合理的な手法は、私も参考にさせています。
で、最後の著書になった(現時点での話で、まだに翻訳されていないものがあるのかもしれませんが…)「ザ・ベロシティー」では、リーンとシックスシグマとTOCを組み合わせて使うことを提案し、「あえて無駄は残すことが、実は大きな利益を生み出すのだ」と言い切っています。
私は、日本語訳された彼の著作は全部読みましたが、どれもストーリー性が高く、わかりやすく書かれているのが印象的でした。
製造業から、営業、プロジェクトマネジメント、組織運営に至るまでTOCの適用範囲の広さが印象に残っています。
本当に、惜しい人を亡くしました。ご冥福をお祈りします。
・・・・・
このTOCとTRIZはとても親和性が高いと感じていました。
特に、思考プロセスの一つである「現状問題構造ツリー」は、現在見えている問題の原因を探り出すのに使っていますし、「矛盾構造ツリー」は、表現こそ違えTRIZの工学的矛盾の考え方と似ています。
我々は、TOCに不足していると思われる、解決策のアイデア出しの部分にTRIZを活用していましたから。
これを機に、さらにTOCをはじめとするいろいろなツールとの親和性を高める取り組みをしていきたいなと感じています。
・・・・・
で、閑話休題。
先日、FBでのある懇親会で、TRIZの話題になったのです。
Aさんは、大学でのロースクールで教鞭をとって学生たちを指導しています。
Bさんは、クリーニング屋さんです。(先日、ブログにも登場して、ネクタイの汚れを落とすのに、何が付いたかではなく、何についたかが大切だと発言した人です)
彼らと話をしていて、TRIZの話になったとき、Aさんがおもむろに「アイデアカードを持ってるけど、これってTRIZと関係あるの?」と。
それは、iPhoneアプリの「知恵カード」でした。
「そう、それはTRIZの40の発明原理というツールをわかりやすく表現して、カードみたいにしたものですよ」と私。
「これ、良いよね。iPhoneのアプリになる前から、カードをBSに使ってましたよ。」とAさん。
それを聞いてたBさんも興味を持って、「Aさん、それどこにあるの?」と、アップルストアから探して購入している様子でした。
こうやって、いわゆる狭義の技術者ではないお二人とTRIZ談義をできる環境って面白いなと感じました。
きっかけは、どこにでも転がっているけど、それに気づくためにはお互いのふとした会話から零れ落ちる「何か」に反応できるアンテナが必要なんだと。
・・・・・
今、原点に返ってTRIZを分析しています。
というか、そもそも問題解決や課題達成のために必要なことってなんなんだろうという命題について考えつつ、手法の作成を検討しています。
できるだけ早く、皆さん方にお届けできるように頑張っていますので、今少しのご辛抱を・・・・。
え? そんなに待っていないって?(汗)
まぁ、そういうことで(笑)
そうそう、MONOistで私の3回シリーズのTRIZ連載が始まりました。
先日2回目が公開されましたので、興味のある方は是非ご覧くださいませ。
「ブレーキの問題解決アイデアを出そう(1/3)」です。
また、7月にはくまもとでTRIZの公開セミナーをやります。
こちらの方もよろしければ…(笑)
第56回KDRIイブニングセミナー「TRIZ理論」 からお申込みくださいませ。
では、また!
by kuwahara_triz
| 2011-06-12 16:11
| TRIZ